第二種電気工事士受験体験記

日記

はじめに

「自宅のコンセントとかスイッチをいい感じのやつに変えたい・・・!」

業者に依頼してもいいんですが、実は僕大学の学部までは電気電子工学科だったのもあり、せっかくなのでDIYでやってみようと思い立ちました。 ただ調べてみると、第二種電気工事士という免許が必要であることが分かりました。

そこで勉強を開始して、先日試験を受けて無事一発合格できたので、勉強した内容とか買ったもの、個人的に考えたコツ的なものなど、第二種電気工事士受験体験記としてブログに残しておこうと思います。

第二種電気工事士とは

電気工事を行うためには電気工事士などの資格がなければならないと法律で決められています。

参考: https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000139

大まかには第一種と第二種電気工事士があり、それぞれ以下の工事が可能になります。

  • 第二種電気工事士: 一般家庭など低圧(600V以下)で受電する電気設備等の工事
  • 第一種電気工事士: ↑および最大電力500kW未満の需要設備(工場、ビル等の大規模な電気設備等)

参考: https://www.shiken.or.jp/range_qualification/index.html

一般的な家の中の電気工事であれば第二種電気工事士があれば十分なので、僕はこちらを選びました。

試験の概要

試験としては筆記試験と技能試験の2つがあります。 まず筆記試験があり、それが合格すると技能試験に進めます。 技能試験は1度落ちても次回の筆記試験は免除されることになっているので、技能試験は2度チャンスがあることになります。

https://www.shiken.or.jp/flow/construction02.html

筆記試験は以下のような形で50問の4択式の構成になっています。 この内60%正解すれば合格です。

https://www.shiken.or.jp/answer/pdf/349/file_nm01/2021am_K_kamikihikki.pdf

技能試験ですが、以下にある13個の候補問題のうちランダムに1つ出題され、時間内(40分間)に組み上げるという内容です。

https://www.shiken.or.jp/candidate/pdf/K_R03K.pdf

以下は実際に練習で組み上げた候補問題 No. 12 の例です。

問題例

個人的にはこれがとても考えられたうまい仕組みだと感じました。 しっかり対策するには候補問題を少なくとも1通り練習する必要があるため、この候補問題を練習する、という行為自体が資格を取得するカリキュラムに組み込まれていると言うかなんというか・・・。 電気工事の作業の練習を受験者に強いる、ということに関してとても効果的だと思います。

試験対策前の僕の状況

前提として、試験対策を始める前の僕の状況を示します。

  • 高専・大学学部は電気科(大学院からは情報)
  • 電気の基礎的な理論・計算だけは知ってる
  • 配線・はんだ付けの経験はほぼ無し
  • 法律は何もわからない

対策の流れ

  • 2021年2月25日: 本を買う&筆記試験対策開始
  • 2021年5月30日: 筆記試験本番
  • 2021年5月30日: 工具買う&技能試験練習開始
  • 2021年7月18日: 技能試験本番

1. 筆記試験対策

まずは本でしょうということで、「いちばんやさしい 第2種電気工事士【筆記試験】」という本を購入しました。

電気の計算以外全くわからない状態で、過去問を見てもチンプンカンプンだったので、とりあえず2周くらい全体を軽く通しで読みました。 これでなんとなく筆記試験の全体像が見えるようにはなったんですが、暗記項目は全然できてない状態だったと思います。

HOZANの第二種電工試験の虎サイト

個人的に良いと思ったのは、HOZANの第二種電工試験の虎サイトの筆記試験対策ページです。

https://www.hozan.co.jp/corp/pc/02010/

筆記試験対策の動画(YouTubeにアップされてる)と問題集がセットになっていて、これを1周しました。

このページ内の動画でも言及が合ったのでやってみたのですが、動画中に紹介された暗記項目のスクリーンショットを撮っておき、試験直前数日間で何度も確認するという勉強法を実践しました。 暗記カードを作ったり自分でまとめたりなどの手間をかけずに、スクショを撮るだけで何度も見返せる暗記項目まとめが作れるのでおすすめです。

実際試していないので分かりませんが、本を買わなくてもHOZAN虎サイトだけで筆記試験対策は十分だったような気もしました。

2. 筆記試験本番

自己採点ですが50問中7問間違いで正答率は86%でした。 1問目の中学校レベルの計算問題をミスするなどおかしな行動がありましたが、とりあえず合格していたのでよかったです。

HOZAN虎サイトで撮ったスクショを何度も眺めて覚えたのがかなり助けになったと思います。

3. 技能試験対策

筆記試験当日にあらゆるサイトで解答速報が出されるのですが、その自己採点結果で合格していたっぽかったので、当日夜に早速工具と練習部品セットを購入しました。

HOZANの工具セット DK-28 と、同じくHOZANの練習用部材 DK-51 です。

ただ買ったは良いのですが、研究がその時忙しかったためしばらく放置していました。 練習するための準備と片付けが大変で、意外と時間と手間がかかるんですよね。

しばらくはHOZAN虎サイトの技能試験対策ページの動画を一通り見たり脳内シミュレーションしてみたりして楽しんでました。

https://www.hozan.co.jp/corp/pc/02020/

あとは複線図を素早く書く練習をするため、候補問題を1周して複線図だけ書いてました。

ちゃんと組み立てる練習を開始したのは結局試験本番前の2週間ほど前からでした😂。 そこから1日1問題に取り組んだりサボったりしつつ、試験直前の方には1日2問題3問題やる日もありましたが、なんとか試験までに候補問題の練習を1周できました。

練習するうちに、線が意外と硬く尖った部品も多くて手が痛いとか、被覆剥がしのときに長さを測るのが大変とかの問題を実感して、以下を追加で購入しました。

ミドリ安全のMaxiFlexというグローブを買って使ってみたのですが、素手にはさすがに劣りますが、机の上にある細かい線を掴んだりすることもできる程度には問題なく作業をすることができ、しかも手が全く痛くならなかったので個人的には良かったです。 ただ僕はこれしか使ったことがなく、他にもより良いグローブがあるかもしれないので参考程度にお願いします。 とりあえず本番でも両手につけて作業しましたが、試験管に指摘されたりなどの問題は特にありませんでした。

合格ゲージは結構好みが分かれるんじゃないかなと思います。 個人的には正確に素早く狙った長さで被覆剥がしができるようになるので良いと思ったのですが、上達してくると目視で狙った長さに剥がせるようになるとか、そもそも欠陥の基準的にそこまで厳密な長さで被覆剥がししなくても良いという意見を見かけました。 被覆を剥がしたあとに若干ゲージの上に引っかかってしまったり、P-958 VVFストリッパーの裏面にあるスケールの2, 3cmの部分が隠れてしまうというデメリットも存在します。 練習の序盤ではとりあえず使い、上達してきたら外してできるようにするのが良いかもしれません。 僕の場合はそこまで上達しなかったので、本番でもバリバリ使ってました。

合格マルチツールは、コンセントやスイッチから電線を外すときにマイナスドライバーより使いやすく簡単にできるのが良かったです。 他にもボックスコネクタを締め付けたりできますが、試験本番で支給される器具に合わない場合があるらしい(僕は未体験ですが)ので、あまりこれに頼りすぎずに作業ができるようになったほうが良さそうです。

合格クリップは接続間違いがないかを確認するために一時的に線をまとめておくことができるのですが、結構重宝しました。 ただ本番で付けたまま提出してしまうと重大な欠陥とみなされて不合格になるそうなので、絶対取り外しを忘れずに・・・。

4. 技能試験本番

技能試験本番では、以下の物品を持っていきました。

  • 時計
  • HOZAN工具セット DK-28
  • 合格ゲージ
  • 合格マルチツール
  • 合格クリップ
  • シャープペンシル
  • 消しゴム
  • 3色ボールペン
  • グローブ
  • 絆創膏

1つ危険だなと思ったのは、受験票から本当に集合しなければならない時間がとても分かりにくいということです。 実際の受験票をご覧ください。

受験票

大きく11:30と書かれているのでこの10分前くらいに行けばいいなと思えませんか?

下の方に小さく書かれているのですが、なんとその40分前の10:50までには試験室に入室するようにと書かれています。 実は11:30というのは問題用紙を配ったり支給された部品の確認が終わった後に、実際に40分の作業時間が開始される時間だったわけです。 技能試験を受ける際には実際に集合するべき時間をしっかり確認しましょう。

僕が受けたときの試験の流れですが、まず問題用紙が配られ、その後に部品が入ったダンボール箱が配られました。 ここで問題用紙を開くと不合格になるという説明があったので、触らないようにしてました。 ですが、表紙に部品を確認するための部品チェックリストのようなものがあり、これを見ればどの候補問題が出題されるかを判断できます。(覚えていれば。) なのでそれを読みながら作業の流れを脳内でシミュレーションしてました。 10分間程度(たしか)の時間が与えられ、そこで部品がすべて揃っているかを確認し、11:30に作業開始の合図が出されました。

本番では40分のうちに作業をすべて終わらせないといけません。 かなり焦り気味で夢中で作業をしていたら、だいたい30分ちょっとくらいで一通り完成しました。 そこからは何度も配線が正しいか、ちゃんとネジが締まっているか、被覆を噛んでいないかなど、以下のページで述べられている重大欠陥にあたることがないかチェックを繰り返しました。

https://www.shiken.or.jp/candidate/handankizyun.html

そして先日7月20日に結果発表があり、無事合格してました。 あとは免状を取得すれば、家のコンセントやスイッチを遊び放題できるようになります。

おわりに

無事一発合格できて良かったです。もし少しでも興味を持った方がいれば、ぜひ受けて電気工事していきましょう!

今電気科の学生の方は、電験三種取っておくことをおすすめします。 電験三種があれば電気工事士の筆記試験は免除されるようです。(技能試験はありますが。) 電気科の学生のうちに取っておけばよかったなと若干後悔してます。

いずれ免状を取得して実際に家の電気工事をしたら、またブログにまとめようと思います。